two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

オフシリーズ・閑話球題 ⑳テニスの「数字」その6 スタッツや確率からテニスを評価する具体的な事例その2

こんばんは。

さっき自分のツイッターのおすすめツイートに「2014年のアスリートスナップ」っていう記事の紹介があって、画像を見るとイケメンそうな男の写真が写っている、これは!!!→見る→普通のイケメンの写真が写ってる→名前知らない…

そこで気が付きました、「ストリートスナップ」を「アスリートスナップ」に空目してました…twosetdownです。

最近普通に記事を書いているだけじゃおもしろくないなと思って枕を入れてます。

ネタじゃなくてさっきのは2時間ほど前の実話です。

さて気を取り直して長くやってきた閑話休題シリーズも最後です。ATPランキング試算のグレードアップ版、ATPランキング予測に関しては明日から始めます。予測ってなんだよって話ですがまたそれは明日説明します。

③twosetdownの実践例

実際にいろんなスタッツを気にしながらテニスをするとどうなるのか?自分でテニスをしながら実践してみました。

ちなみにtwosetdownのテニスの実力ですがそこそこといった感じです。大会だと初戦は勝てるけど2戦目以降はシードや強力な選手に当たり次第さようならレベルです。

プレースタイルはトップ10だとフェレールに近いです。粘り強いストロークとフィジカル、あまり自分から仕掛けることはしません。時に状況を見て展開していくこともあります。

フォアの順クロスが一番得意なのでそこから崩すかウィナーを取れるような組み立てを常に考えながらプレーしています。あと回り込むことが多いです。回り込みからのストレートとかもよくやります。

後輩と練習試合をしたときに別の友人に試合統計を取ってもらいました。

統計として取るデータはポイントの推移と、そのポイントが1stだったのか2ndだったのかです。

その情報は試合最後まで教えてもらえないようにして、スタッツは意識するだけであくまで自分の記憶や感覚を次のプレー判断に生かすようにしながらやりました。

特に気を付けたのは1stの確率と2ndのpoints wonです(以前紹介したAとC)。

相手はビッグサーバー系のプレースタイルで、普通に自分より30km/hは早い1stサーブが打てます。確率は低いですが、わかってても取れないことが多く、特に両サイドともワイドへのサーブが取りづらい印象を持っていました。2ndですら私の1stより速いかもしれません…私が遅いだけです…

ストロークも速いボールを打ちますが、ミスは多めで、この試合のプランニングとして①のロブレドのようなスタンスを取ることにしました。サーブを決められたりストロークで押し込まれることはあっても、総量を半分以下に抑えればいい、そういう気持ちでやりました。

時間の関係で4ゲーム先取ノーアドバンテージ、3-3の時はタイブレークというルールです。

ノーアドバンテージですがダブルスでは採用されていますので解説。40-40のあとレシーブ側がサイドを選択。次の1ポイントを取ったほうがそのゲームを取るというルールで、促進だけでなくリターナー有利のルールです。

さて実際の試合結果はこちらです。○は私のポイント、×は相手(後輩)のポイントです。また特にAはサービスエース、Dはダブルフォルトです。

twosetdownからサーブでした。

G1 ○○×○○     1-0 11222

G2 ×A○×D○ -× 1-1 2222D2 2

G3 ○○○○      2-1 2112

G4 DA××A     2-2 D2212

G5 ○×××○○ ○- 3-2 222122 1

G6 D×××○○ ○- 4-2 D21112 1

4-2で勝ちました、しかしこの試合、スタッツ分析していなかったら普通に負けていたような気がします。

まずは統計です。

twosetdownのスタッツ

A 1st serve 6/16 38%

B 1st serve points won 5/6 83%

C 2nd serve points won 7/10 70%

Service game points won 12/16 75%

Break points 1/2 50%

Break points saved 3/3 100%

後輩のスタッツ

Ace 3

DF 3

A 1st serve 5/19 26%

B 1st serve points won 3/5 60%

C 2nd serve points won 8/14 57%

Service game points won 11/19 58%

Break points 0/3 0%

Break points saved 1/2 50%

いろんなことがわかります。

しかし先に言っておきたいのはABCは何もサーブがよかったから、リターンがよかったから変わるものではありません。

どれだけいいサーブを打ってもフレームショットでコートの中に入るようなリターンが返ってきて、そのチャンスボールを全部ネットにかけたら0%になってしまうわけです。原因を様々なところから見つける努力も必要です。

とりあえず私が当初考えていた作戦は当たり、ロングラリーは取れていました。

しかしセカンドサーブでもリターンミスが多かったため、後輩は序盤サーブを打ちきれていなかったのにチャンスをあまり作れませんでした。

特に第2ゲームは40-15からデュースに持ち込み、ディサイディングポイント=ブレークポイントの場面を迎えましたが、生かし切ることができませんでした。

ここまでの6ポイントを見ればデュースサイドで取るほうがポイントが取れそうな感じがします。

デュースサイドとは奇数ポイント目にリターンを受けるサイドのことで、右利きのフォアハンド側です。デュースのカウントの時に構える位置だからです。

反対にアドサイドとは偶数ポイント目にリターンを受けるサイドのことです。アドバンテージのカウントの時にリターンを構える位置だからです。

アドサイドではエース一本取られているのに、デュースサイドではDF1本もらっています。

当時の私は「ノーアドだし2連続アドサイドからサーブをさせてリズムを崩そう」ということを考えていましたが、現実的なポイント獲得の観点から言えばかなり無意味な選択だったように思います。

1、3ゲームはサーブもある程度入ってリターンミスなどのショートポイントも作って難なくキープ。だめですけど40パーセント超えればギリセーフかなと思っていました(この辺は感覚的にも入っているイメージはありました。プロはもう少し意識高いでしょうが、一般的なプレーヤーでも30パーセント台になってくると入ってないという感覚を覚えます)。第4ゲームは軽率なミスが多かったように思います。

ちなみに私が意識しすぎたせいかワイドへのサーブは割とケアできた反面、エースをセンターに叩き込まれるのが多かったです。

問題の第5ゲームですが、ここでスタッツが生きました。

後輩がいいボールを連続して決め、15-40となりました。

というのも15-30から1stサーブをきっちり決めたのですが、ラリー中に私がセルフジャッジをしてアウトボールだと判断して見送ったボールがイン。違いますけどチャレンジが決まって30-30が覆ったかのような状況になりました。

ここで私はいろいろ考えました。第3ゲームではブレークチャンスを迎えたとはいえ3-2から相手のサービング・フォー・ザ・マッチというのはあまりにも危険です。

しかし15-40は40-40からもブレークポイントになるので実質的に3BPとなり、3本どこで落としてもゲームを落とすという緊迫した場面に陥ります。

まず一本しのぎ、30-40としたところで仕掛けます。

セカンドサーブをかなり入れに行き、ラリー戦になったところ、今日どちらも使っていなかったネットプレーに出ました。

ここでネットプレーに出るのは明らかなギャンブルのようにも見えますが、ラリー戦で勝負するとメンタル的に私がやられると思ったので、ミスを相手にさせる選択をさせて、結果相手のパッシングがオーバー。狙い通りの形でポイントを取ることができました。

このギャンブルに出られた理由にスタッツがあります。

そもそも入れに行くセカンドサーブは強襲される危険性がありますが、この試合ではリターンエースに近いポイントはほとんどなく、またCのスタッツがいいことから、単純にラリーで勝てている証拠になります。

ですので思いっきり入れに行く遅めのサーブでもOKと落ちつけさせ、まずDFを回避しました。

さらにラリーで続けていても大丈夫と思っていたのですが、相手はブレークポイント、オフェンシブに出ようとしていたので、先に仕掛けることで動揺を誘い、また相手が焦っていると自分で思い込むことでこうした場面でオプションプレーを出すことに成功したというわけです。

最後は1stを沈めてキープに成功。スタッツによって気持ちを落ち着かせられたことが勝因でした。

結果的に3ポイント連取されて15-40という形になったが、サービスゲームではそこまでほとんどポイントを取れていたわけですし、先に焦っては負けということでした。

逆に第6ゲームではマッチポイントで今度こそデュースサイドでリターンをしました。1stサーブを何とかリターンし、最後は相手のストロークがネット。QMK(「急にマッチポイントが来たので」)をものにして勝ちました。

④実際にプロの試合をスタッツで分析してみる

③は自分で言うのもあれですが長すぎましたね。わかってほしかったのはこの考え方はアマチュアレベルにも十分適用できるということです。みなさんもこういったデータを気にしながらテニスをすると上達できるかもしれません。

ここからは本題、プロの試合のスタッツをどう見ればよいかです。

今回使うのは錦織×フェレールのファイナルの試合です。

Set one #FinalShowdown stats: David #Ferrer v Kei #Nishikori. #tennis pic.twitter.com/UnxqONzZYP— TennisTV (@TennisTV) 2014, 11月 13

第1セットです。

Loads and loads of #FinalShowdown set 2 stats: Kei #Nishikori v David #Ferrer. #tennis pic.twitter.com/6qAdfht7MX— TennisTV (@TennisTV) 2014, 11月 13

第2セットです。

Big #FinalShowdown match stats: Kei #Nishikori v Roger #Federer. #tennis pic.twitter.com/wSILhw4gBZ— TennisTV (@TennisTV) 2014, 11月 13

最終スタッツです。

いろいろなことがわかります。当時の私の記事はこちらです。

ライブスコアアプリですとABCのpoints won、Braek pointの数字、総ポイントくらいしか出ませんが、いわゆる公式テレビ放送ではここまで詳細なスタッツが出ますので分析の助けになります。

特に最終スタッツは重要な指標ですが、この中でも目を引くのは錦織の1st serve points wonがビッグサーバー相当の80%になっていることです。

これはもう試合を見ていた方はお分かりだと思いますがあの日の錦織の第2セット以降のサーブは本当によくなっていました。確率ではなくその後のラリー主導権などについてです。

第2セットのスタッツは錦織の試合でよく見る典型的なスタッツです。注目したいのはウィナー、アンフォースドエラー(以下UE)の相関関係です。

まず錦織がウィナー>UEであるのがわかります。

これは錦織のストロークがしっかり決まっている証拠で、これが上回っている場合たいていの場面で試合に勝っていたりセットを取っています。

そしてもう一つ注目したいのは錦織のウィナー+UE>フェレールのウィナー+UEである点です。

以前錦織は自分から展開していく攻撃的なテニスと説明しました。

ですからウィナーにしろミスにしろ錦織がポイントの最終決定権を強く握っているということです。

そのうえでウィナーが上回ればもちろん総得点でも上回り、試合に勝っているということなんです。

その結果最終スタッツでは多くのポイントの決定権が錦織にあり、ウィナー>UEと錦織>フェレールを達成しています。

そして当時の記事にも書きましたがディスタンスランが400m以上開いています。

次の表はわかりやすいです。

Rally hit point comparison - sums up the difference in the way #Nishikori & #Ferrer play. #tennis pic.twitter.com/EQgr9JVGRV— TennisTV (@TennisTV) 2014, 11月 13

明らかに錦織が前でボールをとらえているのがわかりますね。

さて、ここでラウンドロビン第2戦のフェデラー戦のスタッツを見てみましょう。すると面白いことがわかります。

Loads of #FinalShowdown match stats: Roger #Federer v Kei #Nishikori. #tennis pic.twitter.com/FEzS8TAJCp— TennisTV (@TennisTV) 2014, 11月 11

ご覧ください。錦織はウィナー<UEとなっているだけでなく、フェデラーと錦織のウィナーは同数。ほとんどラリー主導権ももらえていないことがわかります。

この試合、別に錦織が後ろに下がっていたわけではありません。フェデラーが果敢に前で勝負を挑み、錦織に打ち勝ったと評しました。まさにその結果がこのスタッツに反映されているわけです。

このようにスタッツ分析をするといろいろなことが見えてきます。

みなさんも今シーズンはいろんな面からテニスを見れるようにと閑話球題シリーズをお届けしてきました。

最後のほうは難しかったですかね。応用編という感じで厳しかった人もいるかもしれません。明らかに「支持する」が減っていましたからね(笑)

いろいろ書きましたが言いたかったことはテニスはなかなかに奥が深いスポーツだということです。

ぜひ戦術という面からテニスを知ってもらえるといいなと思って(若干の持論も込めながら)最後はこんな内容でまとめてみました。

みなさんの2015年の観戦の助けになればうれしいです。

さてランキング試算チャートver.2015が完成しまして、あと少しのデバッグを確認すれば運用できます。

少なくとも実際のトップ10ではすべて正しく計算してくれました。

そして次回からランキング試算は全部文字に起こすのではなく、画像ファイルでいきたいと思います。転写するのが実は結構面倒なんですよね。

ちなみに変わった試算チャートはこんな感じです。

before

after

旧フォーマットは12+6ルールにしか対応していないばかりでなく、参加義務12大会を満たしていない人が毎週チェックが必要になるため、いろいろと面倒な場合が発生して計算漏れなどが発生する原因になっていました。たとえばゴフィンとかです。

ところが新フォーマットを見てください。なんと毎週の結果を書くだけでよく、毎週セルをずらすことで表の一番左に今週の大会の結果を書けるようになっています。

まあ言っても半分くらいしかわかってもらえないと思うんですが、これだけで私の作業量が半分か3分の1になります。だって20とか45とか90とか打って、失効点の時はその週の列ごと全消しするだけでよくなったので、これは飛躍的な改善です。

もうATPのみなさんこの実績を見て雇ってくれませんかって感じです(笑)

あとはランキングの前週からの推移と次勝つと入るポイントの表示ですね。これが自動化されれば本当に試合結果のポイントの数字を打ち込むだけであとは全部計算してくれるようになります。

本題を忘れかけていますが、画像ファイルでいくことに問題がある方はコメント欄に書きに来てください。何もなければ今後は画像ファイルでいきます。

できるだけサイズは大きくするように心がけます。最初の頃はちょっと試行錯誤するかもしれません。

それでは。

あ、明日昼から錦織がダブルスに出るようなんですが、見れないんでどなたかここにどんな感じだったか書きに来てくれると助かります。

追記

実際のブログ画面で見てみたけど小さいな…ちょっと考えます。

→考えました(1/5 21:00ごろ)