全く知らない相撲の世界に飛び込んだら面白かった話
6月8日、テニス界が全仏OP準決勝の順延2日目、ジョコビッチ×ティームの激闘、さらに新女王、アシュリー・バーティの誕生に沸く中、テニスライターの私はこんなところに来ていました。
テニス関係あらへんやん!!!
はい、個人的に最近やり取りが始まり、スポーツナビブログで同時期にしのぎを削っていた「幕下相撲の知らない世界」の西尾克洋さんが主宰するトークショーに参加してきました。
西尾さんは、私と同じくスポナビブログ終了時にプロライターになった、いろんな意味で「同期」に近い存在で、過去にはプロ野球死亡遊戯(スポナビブログで一番読まれたブログ)の中溝康隆さんとコラボするなど、精力的に活動されています。
今回、私の今後の活動のヒントになるのではと思い、相撲のことについては特に詳しくもないのに飛び込んでみました。
ちなみに私の相撲の知識はというと
・10~20年位前、学校帰りに見ていた力士の名前の方が知っている
・今は白鵬と安美錦(当時からやってる)と稀勢の里と貴景勝しか知らない
・小学校の頃にあったわんぱく相撲に強制的に出させられ、初戦敗退
といったような感じです(最後の、いるか?)
で、行ってみたんですが、本当に刺激になりました。
内容は「令和の大相撲」というもので、平成30年間を振り返りながら、力士の出身、出自、年齢構成などの30年での変化について表を使いながら説明していました。
結構分かりやすくて、後で話を聞くと、江戸時代くらいからの全ての取り組みの結果がウェブサイトに全部載っているらしいです。しかも取り組み検索とかもできるので、データ資料の有効活用が簡単にできる。
ここはテニスとはっきり違っていて、私はtennis abstractから拾ってくることが多いのですが、まれに漏れがあるし、データの切り口に対していい切り口を持っていない場合は、それに対応するように全部しらみつぶし的に手動でカウントせざるを得ないという弱点があります。
相撲にはそういうことがないみたいで、番付データも引っ張ってこれるみたいだし、データ派の私からしたらよだれが出そうなデータがたくさん引き出せるそうです(ちょっとサイトのインターフェースも見させてもらいましたが、使いやすそうだった…)
トークショーの内容については本人たちの手で自主的に公開されていますが、ここで言及するのは避けます。一つだけ触れておくと、現役力士の勝ち星負け星の二次元ヒストグラムが出てきたのですが、白鵬だけ別次元のところにいました。相撲は基本通算勝率5割に収束するようで、通算6割もあると横綱候補に挙がってくるようです。あれ?トップ10には7割勝率あればいいテニスと似ている…?
これテニスでやったら、たぶんBIG4だけ別次元のところにいるやつになるのでは?
ということで、時間があればやってみようと思います。
さらに終わった後の懇親会では、すごく刺激になることがありました。
西尾さんの相撲にのめりこんだ理由を聞いたところ、私がテニス観戦にのめりこんだロジックととても似ていたため、話が盛り上がりました。
他にも懇親会まで残った熱心な好角家の皆様とお話しました。色々勉強になったのですが
・午前中(三段目くらいまで)が本番というファンがいる
・特定の力士を斜めな視点から応援する人がいる
・行司や呼び出し、付き人などのオタクがいる
・筋肉の付き方に萌えている女性ファンがいる
・力士のイケメンには方向性がある
これってテニスにも当てはまるところありますよね。
・若手の青田買いがすごい人(Fu,CHレベルに詳しい)
・審判オタク(お前のことだろ)
・女性ファンに一定層いるイケメン好きのファン
そして一番個人的に感銘を受けたのは、あるおじさんファンの言葉でした。
「俺はよお、強いレスラーにしか興味がないんだよ。相撲っていうのはスポーツだけど、どういう立ち位置かわかるか?格闘家なんだよ。だからよお、その力士がどれだけ格闘家として強いのか、そこにしか目がいかない」(割と原文ママ)
これはすごく刺さって、なぜスポーツ選手を応援するのか、という根底を問うような鋭い言葉でした。
この方のように、とにかく強い人が好きという人もいれば、選手の人間味に惹かれる人もいる。
これはスポーツを応援している人ならば、どの競技でも起きていることなんだなと思いました。
この人はテニスも見られるようで、まず最初に出てきた言葉が「ジョコビッチってよお、あいつは本当に強いな」でした。これで皆さんにもなんとなく見えてきますよね。この人の軸が。軸が見えてくるから、私も話を持っていきやすくなる。
そんなわけで充実した話ができました。あと、私も自由研究系のことを、はてなブログではなく配信形式で流してみるのも面白いのかなと思いました。
まだまだ書きたいことがあるのですが、話が発散するので残りは生実況などで話していこうと思います。
際立った強さ、クレーキングとクレープリンスの激闘(2019全仏決勝)
すごい試合でした。前半戦を締めくくるにふさわしいハイレベルなゲームでした。
試合開始前の状況は
・金曜日、最高の状態で入ってきたフェデラーにあっさりストレート勝ちしたナダル
・金曜日に試合が終わらず、土曜までもつれて4時間ゲームになり、最後までわからなかった試合を制したティーム
・直近の対戦ではティームがナダルに勝利
・おそらくだが、次期クレーNO.1に位置するティーム、現状のテニス界ではおそらく最高の挑戦者(全仏でジョコビッチに2回勝っていることからも、これは強く主張したい。今BIG4以外で「ティームのクレー」は最も信頼できる要素の一つ)
こんな感じでした。
もしかして、今年のティームなら奇跡が起こせないか?そしてそのためのポイントは「体力負けしない」ことでした。
ただこの点については、本人もある程度自信があったようです。
ブレスニクを中心にティーム陣営が数年間続けてきた、小さい大会まで含めてのドサ回り。当時は批判の声も多かったですが、最後まで体力的に崩れることなくやり切ったところを見ると、この効果はあった、ついに実ったように感じます。あのジョコビッチとの死闘。その翌日。普通出がらしのようになってもおかしくないところ、ティームはむしろ上がっていきました。最高のプレーでクレーキングに挑戦していきました。
今回は叶いませんでしたが、ティームはGSを優勝できる心技体の「体」に到達した、そんなように感じました。
1セット目、いきなりティームがやってのけます。
調子の上がらないナダルをよそに、持ち前の力で押し込むテニスが機能します。ナダルはティームよりもUEを打つ苦しい展開で、ブレークされたゲームもバックハンドをアウトするなど、波に乗れません。
しかし次のゲーム、ティームにミスが出ます。あっさりとブレークバックするとそのまま4ゲーム連取。ナダルが1stセットを取ります。
しかしティームが悪かったわけではありません。ナダルのUEが減った途端、簡単にポイントを取ることができなくなってしまい、ティームに高いレベルのプレーが求められました。高いレベルのプレーはやっていたように思えたのですが、それでも足りず。普通の相手なら6-2でセットを取れているようなティームの内容だったにもかかわらず、結果は3-6。タイブレークにももつれさせてもらえませんでした。
この1stセットを取れなかったことが大きなダメージになるのではと思いましたが、杞憂でした。ティームはプレーを変えず、自分のテニスでナダルを追い込み続けました。
2セット目、ティームは高い1stサーブの確率に加えてショット精度も高めてキープを続けます。少しでも落ちればやられる中、懸命のプレーが続きました。そして先サーブを活かし、その努力が実りました。ワンチャンスをものにして7-5。ナダル相手にセットオールに持ち込みました。
しかし、これでやっと1セットなのです。まだこれを、あと2回やらなければいけない。見た目上セットオールに持ち込んだのは見事でしたが、それでもまだ試合の主導権はナダルでした。
そして第3セット序盤、少しミスが重なった、少しプレーレベルが落ちたティームを見逃さず、ナダルがあっさりブレーク。そのままわずか15分で4-0に。ティーム、会場、そして世界のテニスファンが、もしかしたらと思ったその夢は、15分であっさり沈黙へ変わりました。
ここで第2セットのティーム側のスタッツを見てください。
何の文句のつけようもない、完璧なスタッツです。1stサーブの確率もよく、2ndになってもポイント獲得率が落ちず、W>>UEという完璧な内容。ここまでやって、やっと7-5でセットが取れた。
これをあと2回やることが、どれだけ困難なことか。
やはり3セット目以降の感想は多くの人に「ガス欠」でまとめられていますが、私は違うと思います。あのレベルを維持することが困難であっただけ。しかし、ナダルにとってはこれが日常。だからこそ、ナダルはクレーキングなのです。
QFの錦織も大会内ではベストパフォーマンスでした。SFのフェデラーも言うまでもないでしょう。そして決勝のティームも、相手がナダルでなければ確実に全仏を取れている、GSを勝てるテニスをしていました。
その3人が束になってかかっても、かすり傷1つついたかどうか。それがラファエル・ナダルです。
4セット目もティームはBPを迎えるなど粘っていました。しかし要所での1stサーブ、回り込みフォアからの打ち分け。ティームの豪打をいとも簡単にカウンターしてブレーク。すべてがナダルでした。
そのままナダルは優勝。12度目の全仏制覇。もう記録についてはいくらでも出てくるので割愛します。
ティームが本当に良かっただけに、さらにナダルのよさが際立った、そんなゲームでした。GS決勝にふさわしい、好ゲームでした。ティーム、これで全仏取れなかったらおかしいです。それほど良かった。来年以降に期待しましょう。
総括すると、結局、あのサーブとあのストロークをもってしてもティームが7回もブレークされてしまった。これがいかに異常なことかということです。一方のナダルはわずか2回。ティームよりもサーブの球速は落ちるはずなのに、です。
じゃあどうやってナダルに勝つのか?という話ですが、ティームのプレースタイルなら1~2セット目のプレーを4時間続けるということなんですが、それはもはや無理難題です。どうやったって3,4セット目のような時間帯は出ます。相手がナダルでなければ、1,2セット目を連続で取って、もう1セットどこかで押し切って優勝だったでしょう。そういうプレーだったんですが、それではナダルには届かない。
正直、この3連覇中の21試合の中では一番可能性を感じただけに、試合後の絶望感が半端ないです。
4月までは今年のナダル大丈夫か、でしたが、終わってみればローマ全仏2連勝。いつものレースランキング首位に。いつも通り全仏決勝に完璧に合わせてきました。
正直、ナダルが落ちる以外にナダルに勝つ方法が見当たりません。ティームは前哨戦では勝っていましたが、本番で2年連続勝てなかった。しかしこれはフェデラーもジョコビッチも通った道です(なお、結果としては2人ともナダルを倒して優勝したわけではないのですが…)
全仏でナダルに勝つことは、全く別次元の話なのです。特に2週目後半。
さて、いよいよ季節は芝へ。今週からは後半戦。まずはウィンブルドンへ向けての戦いが続きます。
今大会、フェデラーがナダルの庭に挑戦しましたが、ウィンブルドンでその逆はあるのか。まずそこが楽しみなポイントになってきそうです。
ツォンガを退け、順調に勝ち進む(2019全仏1R2R)
※書いてる途中でこれは長くなると確信したので、試合ごとに区切って書きました。
29歳、勝負のグランドスラム第2戦、全仏です。
全仏は特定選手への勝利(or回避できるドロー運)とフィジカル面での耐久、さらに難攻不落のシャトリエ攻略が優勝へのカギとなります。
今回ドロー運では特定選手を回避できるドロー運はありませんでしたが*1、それ以外の面は達成してほしいところです。
ドロー解説書いていませんが、ここでの記事公開が示すようにやはり2回戦のツォンガ戦、これが1週目(3回戦までを指す)の山場でした。振り返っていきましょう。
まず1回戦を見ての感想ですが、錦織は盤石でした。
1,2セットは特に言うことなくきっちり押し切りました。時折アリスがサービスポイントを連発していましたが、それ以外の部分で圧倒していたので全く心配しませんでした。
3セット目でアリスがブレーク先行、ピンチらしいピンチを迎えます。
この時間帯の両者ですが、アリスの逆を突いたボールが決まっている時間帯でした。対して錦織は、アリスの逆を突こうとするのですがこれが裏目。オープンスペースに打てば決まっていたボールまでアリスのいるほうに打ってしまい、カウンターを食らいます。ラリーの組み立てが噛み合わなくなりブレークされます。その後なかなかアリスのストロ-クが落ちず苦しみましたが、ようやく第6ゲームで追いつきます。しかし第7ゲームは不用意でした。特にアリスが何かしたわけではなく自滅で落としてしまいました。
嫌な流れですが、テニスの流れは変わりませんでした。その後連続ブレークで試合を締めて2時間ゲーム。3セット目の序盤を除いては終始錦織が試合を支配して完勝でした。注文のない勝利と言っていいでしょう。
2回戦のツォンガ戦ですが正直に言い訳します。現在宗教上の理由によりWOWOWに入っていないため、映像を確保するまでに多大な時間を要し、2セット目終了まで映像を見れていません。
記録上を辿っていくと、1stセットで先にブレークして、4-3のプレー以降まずかったようです。
対ツォンガ戦のポイントですが、ツォンガのいい時間帯を受け入れることにあります。
この辺りはこちらで解説しています。
難敵ツォンガを最高のテニスで撃破(2016全豪4R) - two-set-down新章
ツォンガがうまい時間帯は錦織の実力をもってしてもどうしようもない以上、それが発生した時に有利なカウントで、ちょっと傷を負っても何とかリカバリーが可能な余裕を持っておくことがカギになります。
ライスコ上ではいきなり連続ブレークを食らったので、いきなり来てしまったのかとがっくり来ましたが、もっとまずかったようでDF絡みの自滅だったようです。だとすると、もしリアルタイムで見ていたら相当厳しい見方だったと思います。
それを取り返したのが第2セットでした。
看板直撃のあの4年前の試合では、自滅から立ち直れないままあれよあれよという間に2セットダウン。そこから2セット挽回しましたが、ファイナルセットでツォンガのサーブを崩しきれず。上位陣相手には2セットダウンは試合終了という、私の持論の元にもなる試合でした。
この日はここが修正されました。まず開幕のゲームでブレークを奪うと、キープを続けるツォンガにブレークを与えず虎の子の1ブレークをしのいでセットオール。ここで勝負を振り出しに戻しました。第2セットの重要性。その後の分水嶺となった第3セットや、猛攻をしのぎ切った第4セットもハイライトですが、やはり私はこの第2セットを勝利のポイントに挙げたいです。ここが2セットダウンなら3セット目も4セット目も展開が違っていたので、取れていたかどうかは怪しいです。
第3セットはしびれました。
第2ゲームではフォアミスの連発で40-15からブレークを許します。クレーシーズン通じてですが、固まってミスが出るシーンが続いています。これによって簡単にブレークを許し、試合を長くしてしまっている印象を受けます。
嫌な展開でしたが第3ゲーム、ラッキーがありました。BP時のタイムバイオレーションでいきなりセカンドサーブに。会場がざわつく中リターン一閃。あれは狙うだろうと錦織ファンの多くが思ったでしょうが、ここ一番で会心のリターンを決めてブレークバック。
どちらに転んでもおかしくない展開でしたが、徐々に錦織が押し込んでいき、ツォンガは抑えきれないミスが増えていきます。第9ゲームでBPを一発で仕留めセット2-1に。大きな第3セットでした。
第4セットはセット終盤の勢いそのままに錦織が攻め立てます。しかしブレークポイントでツォンガの粘りにあい、痛恨のキープを許します。ここをブレークできていたら試合が決まっていだけに残念なシーンでした。
そしてここで来ました。ツォンガ、オンファイアー。ブレークポイントをしのいで吠えたところでツォンガのスイッチが入りました。
錦織のプレーは悪くなかったのですが、何をしてもウィナーを決められる展開で、ブレークを許し、そのまま一気に3-0に。フルセットを覚悟しました。これが先ほど言った「ツォンガのいい時間帯を受け入れる」にあたります。
しかし、ここで押し切れなかったのが今のツォンガと言えそうです。全盛期であればこうなれば30分くらいはずっと突っ走るので、1-6くらいでセットを落としてファイナルイン。私もそれを想定していたのですが、ツォンガはあっさりとブレークを許し3-3に追いつかれます。
原因は色々考えられそうですが、やはりトップ選手としての実績からかなり長い年月離れてしまっているということで持続性がなくなってきているという風に思います。
ツォンガももう34歳。ナダルやジョコビッチより上の年齢で、一昔前であれば引退しているような年齢。少し前のベルダスコにも見られた傾向ですが、トップ選手のプレーをできる瞬間もあるけど、持続しなかったり、後は体力面で厳しくなったりしてベストパフォーマンスを出せなくなってくる。昨日のツォンガも、3セット目中盤あたりから踏ん張りがきかなくなってきていた印象があり、オンファイアーをそれらのファクターが上回ってしまった結果がこの即ブレークバックにつながったように思います。
そのあとは錦織ペース。最後はオンラインのドライブボレーなどありSFMでヒヤッとしましたが勝利。3時間で何とかまとめきりました。
この試合はシャトリエでツォンガに勝ったというだけでも十分に評価できますが、展開次第でフルセットもあっただけに、QF付近までに進んだときにじわじわと再評価されそうな試合でした。とまとめたのが2回戦の試合終了直後。その通りにやってくれましたね。
次戦はジェレです。レースランキングは10位台と調子がいいですが、リオ優勝によるもの。リオではティームに勝ったものの、SFで棄権勝ちなど運も向いていました。それ以外の成績は60位付近の選手という印象です。ラモスにストレート勝ちが気になりますが、この小山のドローは比較的楽なので、あまり過剰に評価はできないです。3回戦としては受け入れなければいけない相手かなという印象です。
この後の4回戦は4時間ゲームを制したペールか、あの全豪での死闘があったカレノ=ブスタ。しかしこれもメドベデフ、デミノーが倒れた以上4回戦の相手としては受け入れなければいけない相手です。
ここで360pを取れれば本当に大きい。他の選手次第では今後全米第4シードも見えてくるだけに、重要な試合が続きます。
QFからはもう運です。ただ、その運をつかむためには1週目の下準備が必要。ぼろぼろになってたどり着いた全豪と違って、全力でクレーキングに立ち向かってほしい。あとはもう実力で普通に負けることもありえますが、ベストの状態で戦ったという納得感は残したい。その下準備には、十分すぎる2回戦でした。
全仏 ドロー前概観
いよいよ全仏OPの開幕が間近に迫ってきました。
ドローは日本時間木曜深夜2時からということで、かなりきつい時間なのですが実況予定です。
見どころについてはドロー解説本体で行うことにして、ここではドロー前概観に話を絞ります。
各シードのクレーシーズンの結果を見た危険度を並べてみました。
1~4シード
かなりはっきりと差を付けましたが、決してフェデラーが悪いわけではありません。ナダル、ジョコビッチ、ティーム。この3人が優勝候補筆頭の3名でしょう。その3名と比較すると、ここのところGS早期敗退、かつロングゲームになるとどうしてもしんどくなるフェデラーは評価を落とさざるを得ません。他の上位シードと比較すればその強さは言うまでもありませんが、1~4シードの評価ということで上位進出と考えると厳しいと言わざるを得ませんでした。
またティームもちょっとだけ心配。IW優勝後、波に乗れたような乗れなかったような。BIG4などとの厳しい戦いが続きましたが、この結果が吉と出るか凶と出るか。初の1000p越えの大型ディフェンドがかかっています。注目です。
5~8シード
チチパス>>>>錦織>デルポトロ>ズベレフ
このブロックはチチパスが抜けています。今や上位4シード以外で最も上位を脅かせる一人でしょう。GS適正についてもすでに全豪でクリア済み。今大会、ドロー次第では大躍進の可能性大です。
錦織は物足りない成績にも見えますが、他の上位選手が苦しむ中、最低限の結果は残したように思います。2番手評価です。デルポトロは復帰途中。ジョコビッチとあの激闘だったのでもう少し上でもいいですが、まだ上げきれませんでした。ズベレフは心配。もともとのGS適正もあり、この評価は仕方ないか。今週出ていますが、クレー全週出場というのも個人的には大幅マイナスです。
9~12シード
メドベデフ>フォニーニ>>チリッチ>>>ハチャノフ
錦織と4回戦で当たるシード帯ですが、ここはわずかにメドベデフがリードか。今シーズンは課題だったクレーコートの試合もしっかり勝ち切り、十分な成績を残したと言っていいでしょう。
フォニーニはMS優勝もありやはりクレーでは怖いのですが、その後の成績を見るとまた落ち着いてしまいました。上限だけなら最上位ですが、この位置になりました。
チリッチは心配な選手の一人です。ローマでも錦織との対戦が期待されましたが、シュトルフにあっさり完敗。もともと苦手な時期ですが、マドリード以外ぱっとしないようでは本番も厳しい。
ハチャノフはなんとかクレーで勝ちがつき始めましたが、もともとのクレー適性もないですしこの位置。錦織としては後ろ2人を引きたいか。
13~16シード
チョリッチ>モンフィス>>バシラシビリ>>ラオニッチ
チョリッチは調子を維持しています。モンテカルロ、ローマと2回のMSベスト8。フェデラー戦ではあと1ポイントまで行きました。今大会も4回戦に進めば上位4シードと面白い一戦になりそうです。モンフィスはけがから復帰後まだ6試合。地元補正に期待か。バシラシビリはぱっとせず苦しい。ラオニッチは復帰戦。まだあまり期待できないでしょう。
17~24シード
シュワルツマン>ペリャ>>チェッキナート>ベルダスコ>>アグー>>シャポバロフ>>>プイユ>デミノー
ローマベスト4のシュワルツマン、今期絶好調のペリャは脅威。引きたくない2名です。ベルダスコは力はあるもののGSの5セットマッチに耐えられるかがポイント。前年ベスト4のチェッキナートも不気味。一方アグーはあまりぱっとせず、シャポバロフも結果が出ていません。プイユはチャレンジャーでは優勝したものの、公式戦では1勝3敗。全豪の大躍進以降はぱっとしません。デミノーはクレー今期未勝利。怪我明け以降なかなか本来の結果が出せません。
割とばらついた印象です。ドロー次第で結構他の選手からの印象は変わりそうなシード帯です。
25~32シード
ワウリンカ>>>アリアシム>ゴファン=ベレッティーニ>ジェレ>>シモン=ラジョビッチ>>エドムンド
言うまでもなく、ワウリンカが飛びぬけています。この人がどこに入るかが1週目のポイントになりそうです。
アリアシムも脅威。ただまだGS実績がほとんどないので間引きました。実力者のゴファンと好調ベレッティーニが追います。
シモンは現在3連敗中。ラジョビッチもあのモンテカルロ準優勝以降はツアー本戦3連敗中です。エドムンドは5連敗中。ここは上位3人を引かなければ良しというところでしょうか。ワウリンカが上位4シードと当たるようだと本当に面白くなります。
ノーシード要注意選手
キリオス、シュトルフ、ガリン、ガスケ、エルベール、フルカシュ、フリッツ、ツォンガ…
挙げるときりないですね。ノーシード上位は今期好調の選手が並んでいます。
あと今年は予選もタフで、サングレン、トロイツキ、モンテイロ、デバッカー、ガルシア=ロペス、ダビドビッチなど強力な選手が残っています。
私の持論ですが、下手なノーシードより予選勝者の方が怖いというもの。予選勝者が入ったところも確定するまで油断できません。よくわからない地元WCが一番楽だったりする…そういえばジャンビエって元気にしてるのかなと思ったら、こないだツアー本戦に出てきたようです。
結構ドロー次第で差がつきそうな感じなので、ドロー抽選は盛り上がりそうですね。
ダブルヘッダーを乗り切る(2019ローマ2R3R)
個人的には非常に厳しいと感じたダブルヘッダーでした。
錦織のシングルスとダブルスのダブルヘッダーは最近でもいくつかありましたが、ATPの規定により、シングルス→ダブルスの順番でやることが明文化されているので、シングルスに集中して、クールダウンがてらダブルス(しかもあまり動かなくていい)ということで、シングルス2試合のダブルヘッダーとは疲労の度合いがかなり違います。
私が確認した記録では、最後にシングルスのダブルヘッダーをやったのは2013年ワシントンのソック→バグダティス以来となります。*1この時は2試合目の天敵バグダティスに敗れました。なので、ダブルヘッダーで2勝したのはもしかしてキャリア史上初めてですかね?あーでもチャレンジャーレベルだとよくありそう。そんな記録を調べる気力はない…
でもおそらくATPツアーでは初めてですね。トップ選手になって屋根付きコートに入ることも多くなったので、今後二度とない可能性すらありますね(あるとすれば、ここかマドリードくらいでしょう)。
まあ、条件自体はほとんどの選手が同じなのであんまり文句は言えないのですが、GSでの回復力に対して3セットマッチの方がちょっと劣る傾向にあるのは、これまでの試合傾向から分かっているので、かなり心配でした。
その意味で、初戦の快勝が大きかった。まずはフリッツ戦から。
といっても、昨日のフリッツは本当にどうしたのでしょうか。試合に入ってきてから早速表情が暗く、何か集中できていない印象でした。
実際、振られてからのミスが早く、追わないポイントもありました。バルセロナの錦織戦で故障してしまったわけですが、まだその影響があるのかな?と思わせるような内容でした。
試合はそんなフリッツがミスを量産。錦織はノープレッシャーで挑めたのが良かったのか、のびのびとプレーをしてあっという間に5-1とリード。ここで一瞬デリエン戦がよぎりましたが、あっさりとキープして6-2。1stセットを30分で取ります。
2セット目に入っても展開は変わりませんでしたが、ブレークバックされたゲームでフリッツが好打を決めました。オンラインに落ちてしまうなどのアンラッキーもあり、錦織にとっては不運なゲームでした。ここでフリッツが少し勢いをつけます。試合終盤では少し錦織を脅かすようなシーンもありましたが、ここをしのげたのはサーブの力でした。
錦織、試合開始から5ゲーム連続でDFを打つ低調な滑り出しとなりましたが、最後は1stの確率を上げてフリーポイントを量産。返されていたら危ないシーンはいくつかあったため、これが大きなポイントになりました。フリッツを退けて、かかった時間はわずか72分。最高の形で初戦を締めくくりました。
2試合目のシュトルフ戦はやはりシュトルフが強かった。今シーズン、カレノ=ブスタ、ラオニッチ、ズベレフ、シャポバロフ、ゴファン、チチパス、ディミトロフ、チリッチに勝利しています。こう並べるととんでもないラインナップですね。充実したシーズンを過ごしています。
1セット目は錦織のDFが痛い場面で出ました。そのゲームをブレークされるとシュトルフのサーブがさく裂します。このセットは錦織の展開途中でのミスに加えて要所でのサービスポイントが多すぎました。クレーコートだとああいうブレークは仕方ない面があり、それ以上にリターンゲームで挽回することが求められますが、それができなかった。そんなセットのように感じました。
2セット目はまさかのブレーク合戦。シュトルフは非常に攻撃的で、特にバックハンドに追い込んでの錦織FEというシーンをよく見たように思いました。割と打ち合い自体はそんなに悪くなかったように思うのですが、普通に押し切られて失点する(特にサービスゲーム)シーンが目立ったのは当面の課題かもしれないですね(他の試合でもよく見る)。
ただこのセットが少し違ったのは、今度はシュトルフにDF祭りが来てしまったことです。ここで不利なカウントになり、無理な攻めをしてミス。3度あったリードを全て吐き出して5-5になります。
タイブレークでは久しぶりに鬼が出ました。SPでフレームショット打った以外は完璧でした。セットを取ると錦織の流れ、と行きたかったのですがその後も苦しみました。
ただわずかではありますがシュトルフに陰りが見えたこともあり、3セット目自体としては楽に見れました。
ワウリンカ戦でタイブレークを取れていればと語った錦織。この勝利がまさにその描いていた未来そのものではなかったでしょうか。テニスの流れ通りの逆転勝ちとなりました。
2,3月はこういうところでテニスの流れ通り負けていたのが、昨日は勝ちになりました。相変わらずプレーはミスも目立つ時間帯もあります。本質的には変わっていませんが、アウトプットが勝ちになっているということは、はっきりと良くなってきているのだと思います。ここのところの課題だった接戦を取り切る力。そういえば2試合ともBPのコンバージョンが良かったですね。やはり数字に出てきます。
たった1日の結果ですが、ここまででも十分価値ある1週間になりました。
全豪でもそうだったのですが、やはり錦織のフィジカルはトップ選手のそれです。体型の大きい選手にも打ち負けてないですし、ダブルヘッダーももろともせず勝ち上がりました。
次はシュワルツマンです。ズベレフ、モンフィスではないですが、このブロックではその次のランク。ほぼ順当と言っていいでしょう。
今シーズンのシュワルツマンはここまでレース30位と微妙な成績。ハイライトはティームに勝って決勝に進んだブエノスアイレスくらいでしょうか。
ただ今週の勝ち上がりは見事です。試合のインターバル、体力面という観点でもむしろ有利なのは1試合多いシュワルツマン。
そして過去3戦とも錦織が勝利しているとはいえ、楽な試合は1試合もなかったです。油断は禁物と言っていいでしょう。展開としては、今日のシュトルフ戦並のブレーク合戦になりそう。打ち合いよりも重要になってくるのはサーブリターン。シュワルツマン、本当にリターンがいい。昨日の2試合のようにフリーポイントを稼げないとしんどくなってきます。
今日勝つと相当楽になります。いろんなところで言ってますが今のATPは安定感より爆発力。2~3月クレー全敗のフォニーニがレース7位、4月から休みっぱなしのイズナーがレース10位なのが何よりの証拠です。ここでSFに行けば、ロンドン争いでも相当有利になります。
非常に重要な一戦、今日も実況予定です。よろしくお願いいたします。
*1:この時を振り返ると、たしか今夜が山田とか書いてましたね。当時の記録は消えましたが、これを覚えている方はTSDマニアですw
割と各種運用に困っていたが…?(お知らせ的な)
ちょっとした悩みというか愚痴というか困っている話です。
私個人、体調の問題なんかもあってあんまり雑音は入れたくないと思っています。しかし一方で、(全ての活動に責任がかかっているわけではないが)プロライターである以上の責任は分かったうえで活動を続けていますし、正当に文章が読解されたうえで「これはおかしい」「選手やチームなどを不当に傷つけている」といった意見には真摯に耳を傾け、改善し時にはお詫びする必要もあると思ってやっています。
ところが、現状その声を聞く方法が限りなく難しい、私の実感としては「ないに等しい」とすら思っています。
私が発信する媒体は
①公的な媒体に寄稿した記事
②試合の音声実況
③このブログ
④(ごくまれに)Twitter
という状況でして、実はほぼすべての媒体に「読者(聴衆者)からの声」を聞けるインターフェースは備わっています。
まず①ですが、今年に入ってNumberwebではコメント欄制度ができました。しかし、まだその機能は十分に果たされていないようで、他記事などを読んでいても投げ捨てるようなコメントが多くあり、とても意見の反映には使えないというのが正直なところです。
ananの方はさすがに読んだ人の感想を読めないのですが、これは仕方ないでしょう。
②ですが、私の放送媒体にはコメント欄があります。私としてはTwitterよりも早くレスポンスできるので、リアルタイムでの相互やり取りみたいなものができればいいと思っていたのですが、これも機能していません。
ここのところ、放送すればおよそ50人から多い時は100人、200人くらいの人が来られているのですが、多くても5人程度しかコメントしていない(それも頻度少ない)で、私は試合の実況や解説をしているので話が止まることはないのですが、かなり寂しいです。
原因はなんとなくわかってるんですけどね。テニスの試合を見ている片手間にコメントするの、結構時間ないので。ぼーっと私の解説を聞きながらテニスの試合を見るのが一番スタイルとして合っているのは間違いないですし…
③ですが、これはこのブログを読まれている方ならわかると思います。
少し前に議論記事ということでコメントを促進するような流れに持って行ってみて、どうなるかをしばらく見ていこうということで時間が経ったんですが、やはりスポナビブログ時代の頃のようにはなりませんでした。
実際はてなブログの人気記事を読んでもコメント0とかしょっちゅうなんですよね(というか、半数以上そう)。はてなブログ自体がそういう傾向だということを掴む前に急に移籍したのが悪かったのですが、今後もここのコメント欄があまり賑わないのはもう仕方がないのかなと、諦めの境地になっています。
というわけで、④しか道は残っていないのです。
かといって普段使いのツイートを再開するというのには相当ためらっています。
音声実況ができなかったので実況をツイッターでやった日があったと思うのですが、実はあの時FF外から引用RTで(あまり的を射ていない)否定意見を表明され、粘着気味に絡まれて収拾がつかなくなった時がありました。*1
時々刻々と変化する試合実況の一部を切り取られ(実際、引用RTをもらった段階では私の見解が少し変わりつつある時間帯で、のちにそれをツイートで表明した)、私はこう思うとこちらに通知を送られるのも非常に癪だったと同時に、わずか2試合しか実況していないのにこうなるか、と思いました。
上では試合実況のことを指しましたが、これは普段のツイートでも本質は変わりありません。今までにもできる限りの対応を行ったにもかかわらず、本意でない結果になることが多々ありました。再開すれば、そのようなことに不定期に巻き込まれることを約束されてしまいます。
しかし一方で、私の現在地を知る方法が失われていることは大きな問題です。
これは以前の記事 【議論】nextgen世代の好き嫌い、そろそろ出てきた? - two-set-down新章 でも書いた次第ですが、本当に読者の声やテニスファンの声を拾えないことが怖い。必死に書いたブログの記事が、世の中の潮流とずれていれば何の意味もなくなります。ましてや大衆雑誌に寄稿しているのでなおさらです。
実際古参の人を中心に、最近の私をどう見てるのか?ということを私は全く知れません。今の状況が続く限りは。
ということでTwitterにも投げてみたのですが、いいねの数しか増えず、あまり直接感想を送ってくださる方がいない…
本当に困っているので、Twitterの該当ツイート、告知ツイート、このブログのコメント、どこにででもいいのでご意見をください!切実にお願いします!!!
まで、記事を完成させて、後は機を見て投稿するだけという状況でした。
そんな折、日曜日に記事を書こうと準備をしていたところ、一本のDMが届きました。
お名前は伏せますが(といっても、向こうの方も書いてるから探せば誰かわかるけど)私と同じアマチュアからブログ発でプロライターになられた方です。現在も一般企業で働かれていて、境遇もほぼ同じでした。
話を聞くと、今の生活状況についてどう思っているか、今後どうしていきたいかの意見交換を行いたいということだったので、かなり込み入った話をしました。皆さんにお伝えできない私が抱えている問題や、向こうの方の話などを結局半日もしてしまい(それはそれは盛り上がりました)、気が付けば夜に。*2
私のTwitterを読んでから来たのかなと思ったのですが、全くそんなことはなく単なる偶然だったようで、上の下書き状態の部分で書いたような話もしました。色々と議論を行ったのですがその詳細については省略します。そして結論としては、やはりインプレッションと新たなファンを得続けることは重要で、そのためには自分から出ていかないといけないということになりました。
ただ、上で書いたように現状手持ちの状況でインプレッションを得ることは困難であると言わざるを得ません。マイホームページを作るなんて話も出たんですが、さすがに時間取れないだろうということで私は諦めました。
しかし、それを簡単に得る方法があります。SNSです。
悩みました。戻ってきた時の皆さんの反応を。結局戻ってくるのかと言われることは承知です。
ただTwitter復帰によってさまざまなメリットが得られると思っています。
①テニスニュースの速報性
テニスニュースのカテゴリーを作り、一回TwitterでRTしてからブログで随時更新する予定でやっていましたが、これが自分のスタイルに全く合わなかったので、結局情報を回すだけして更新しないという結果に陥りました。
結局、ニュース1つで1記事になることはそうなくて、スレッド形式でまとめて記事にするしかないんですが、私の生活スタイル上、まめにちまちま更新するのが難しいので、結局その場その場でコメントしたほうが相当楽になるということです。その点Twitterは楽で、すぐコメントして終わりでいいので、だからこれまでも長続きしたんでしょうね…
②みなさんのコメントのしやすさ
これは間違いないと思います。スポナビブログもID制になってから途端にコメント数が減りました。はてなでやっている今もID制がコメント数の少なさに影響しているものと思われます。やっぱりそこはSNSには勝てない。今のやり方では。
ただ、まじめに全部返すのはやめようと思います。一定の確率で意味の分からないコメントも来たりしますし。そこは気まぐれにやります。しんどいだけなので。
とはいえみなさんからコメントが来ると私が元気になります。その辺よろしくお願いいたします。
③外への活動アピールは重要
何らかのお仕事を持ってきてくださる方への生存確認、元気に活動していることをアピールすることがまだまだ必要だと思いました。結局ananのお仕事を依頼されたときもまだ私が元気にTwitterでやっていた頃(TwitterのDMに直接話が飛んできました)。
あと、ありがたいことにまだまだ最近フォローされる方がいらっしゃいます。*3
私が思っていたよりもテニス観戦というフィールドは広く、ライターとしての開かれた窓口を持っておく必要があり、来た人を受け入れる体制を作っておかないといけないと思いました。今や個人の活動をするにあたって個人が見えることは必須条件です。
④私が楽
やっぱりね、楽なんですよ。
ブログだと最近試合見る→引っかかったところを見返す→何らかの検証→書く→軽く校正→投稿で6時間くらいかかります。全く盛ってませんどころか、たぶん少なく見積もっているはず…
しかしTwitterだとポッ、ポッで終わりなので←雑だなおい
これはかなり違います。
書きませんでしたが、マイナス面なんていくらでも考えられます。ただ、某ライターさんとのお話によって、私の中で踏ん切りがついたというか、やらなければいけないなという気持ちになってきました。
私が比較的時間が取れて楽になった3月以降、やりたいという気持ちはやっと向いてきたにもかかわらず、なかなかその具体的戦略、方針が見えてこないまま突っ走ってきました。ゴールの見えない全速力ダッシュはやはり難しくて、簡単に息切れしてしまいました。
昨日の会話で、どうしていきたいのかみたいなことが少しずつ見えてきました。
その中での、一つの大きな決断です。
この記事をもってついに戻ってきます。Twitterでの通常つぶやきを再開します。
ただし、試合についての実況は引き続き生放送が中心となります。ここだけが初期の頃と違う点になります。
あと、他にもいくつか考えていることがありますが、それはもう少し詳細を詰めてから、本当に問題ないか確認してから決定したいと思います。
調子は上向きではあるが、まだ足りなかった(2019マドリード2R、3R)(途中原稿)
※これは途中の原稿ですが、ローマの試合前にアップしておくべきであろうという判断により、特別に公開しています。逆に普段こんな感じで書いてるんだなあという雰囲気も感じ取っていただければと思います。
なるほどなあ、という試合後の感覚でした。
まずは2回戦から順に試合を振り返っていきましょう。勝ち試合ですが、この試合に今回のワウリンカ戦、ないし全体俯瞰として重要なヒントが隠れていました。
初戦のデリエン戦ですが、試合序盤はデリエンが対応できていませんでした。一方的に錦織が攻撃を行い、特に問題ないので自由自在に決まりました。錦織にとっては大会初戦ということもあって、たまに入ったデリエンの強打は追わずにスルー。余力を残しながらプレーを行い、色々と試した結果のミスが少々目立ちましたが問題なく5-1まで進み、25分ほどであっという間にセットポイントを迎えました。ここまでは、よくある展開でした。
しかし一つ問題が起きたのがセットポイントでした。2本凌いだところでデリエンに勢いが出ました。続くゲームをブレークすると、さらに2度目のSFSまでもブレーク。この頃には、デリエンは別人のようになっていました。強打を次々と通し、錦織に攻撃させません。
ただデリエンにも色気が出ました。完全に流れはデリエンといった感じの5-5で迎えた第11ゲームは少し意識が入ったのかミスが出ました。錦織が良くなったというよりは、デリエンが悪くなったことでブレークが転がり込んできました。そのあとのSFSはきっちり決めて1stセット先取。見た目以上にデリエンにとっては痛い1stセットとなりました。
2セット目も錦織の耐え時が続きました。序盤はデリエンの方がペースを掴み、錦織の方がキープに苦しみます。
この試合はデリエンの猛攻によって色々とかき消されがちですが、スタッツを見ると何が起きたのかがよくわかります。
写真スクショ
7-5,7-5というスコアだと接戦なのでそこまでスタッツ差がはっきりすることはないのですが、表のように錦織のサービスポイントwonが60%なのに対して、デリエンのサービスポイントwonは52%と、デリエンはほぼ半分しか取れていません。サービスポイントの獲得率が8%も違っていたのです。
じゃあなぜ接戦になったのか?ここまで溜める必要もないのですが、錦織のBP5/24に集約されます。
錦織のリターンポイントwonは引き算して48%ですから、いかにこのコンバージョンが悪かったかは言うまでもありません。つまり、この試合を簡単に総括すると、確かにデリエンがすごかったが、実はスコアの見た目や体感よりは錦織のゲーム支配度は本来高いはずだった。大事なポイントでの精度、これに尽きる、となります。
では大事なポイントの精度はそんなにまずかったのか?という話ですが、実はまずかったのです。
普通はこんなにBPが多くなることがないので、逆にそれを活かして内訳をまとめてみました。
内訳(ポイント全部巻き戻して追うのがつらかった…まだやってないですが、要旨は下の通りです)
はい、もう言いたいことは出てるわけですが、リターンミスです。デリエンが1stサーブ確率重視だったのも相まって、このリターンミスは終始なくならなかったです。
実はこの症状に近いものが別の大会で出ていました。モンテカルロのエルベール戦です。
あの試合はちょうど今回とほぼ逆の4-6,5-7で敗れた試合でしたが、あの試合は勝てる試合だったと思っています。その証拠に、0-40を2回迎えていて、それを逃した理由がセカンドサーブのリターンミスにありました(それ以外にもサービスラインより前からのチャンスボールのミスもありました)。ブレークされたゲーム以外ではほぼ錦織の方が試合を有利に進めていました。あの試合も大事なポイントで攻守とも取り切れず接戦を落としたゲームでした。
そこで試合途中に思い返したのがこのチャートでした。
Tennistvで見ていたのですが、おそらく全ての放送媒体に載ったものと思われます。
クレーシーズンに入ってから、錦織のBPコンバージョンがかなり悪くなっているよ、という数字です。
2018年の標本数は16試合。クレーでジョコビッチと2回、ズベレフ、ティームと1回やるなど相手も結構厳しいものだった結果、この数字になっています。
それに対して、今年はまだ上位ランカーはメドベデフくらいにしか当たってなかったところのこの数字です。たかが10%、されど10%。そして、驚くべきはこれが発表された瞬間の画面。まだ試合の序盤。これから幾度となくBPを逃す前の瞬間の数字です。つまり、今現在の数字はこれより悪くなっています。この画像は、これから起こることの暗示だったのです。*1
簡単な話、昨日のあのワウリンカから1ブレークしかされなかったというのはものすごくポジティブな数字です。ブレークしやすいしされやすいクレーですからね。かつワウリンカは2ndサーブでは極端に下がってリターンし、ストローク戦に持ち込んで勝負することで有名な選手です。そして何度もストローク戦に持ち込まれながらここまで錦織が凌いでいるということは、2セット1ブレークは全く問題ない数字と言っていいでしょう。
ではどこに問題があったのか?と振り返ると、やはりここになってきます。ブレークポイントです。
そこで本人のコメントを聞きました。すると、納得のいくコメントをしていました。
ここにGAORA
自分を信じられればよくなってくる(原文ママ)
はい、そういうことです。
これ、少し前に不振の原因を探った記事で少し近いことを書いていたのを覚えているでしょうか?
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さて長々と語ってきましたが、要するに今の錦織の不調原因はここです。 適切なプレー選択ができない状況にある。その結果、いつもなら取れている接戦のゲームを簡単に落とす。 これを不調という2文字で片付けることは簡単ですが、もう少し踏み込んでみたいことがあります。
(中略)
しかし、ストレスなくテニスをすること、というのが実は錦織圭が勝つために最も必要なことなのではないか?というのが最近の私の持論です。 そして、それができない。手首の問題が残り続ければ気になってしまいます。
2度の大けがをして復帰してきている錦織にとって、そして30歳手前のキャリアを考えると最大の敵が長期離脱であることは言うまでもないですし、それを無視してプレーをしてほしいと願うことは無理な願いです。大けがをすることがどれだけ恐怖なことかは本人にしかわかりません。ですから、そこまで求めることはできません。 だからこそ、この悪循環を抜けるためには手首の改善、これしかないと思っています。
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どうやら手首が原因ではなさそうですが、こういった何か煮え切らない感情、全ての感情を正のベクトルに持っていけない状態を脱却できていないことが不調の原因である、そしてそれがプレーにつながり、結果として負けてしまうということは、あの当時から一貫しています。
テニス観戦とはとても難しいもので、一打一打から1つのポイントが形成され、そのプレーは時々刻々と変化し、その過程でゲーム、セット、試合が積み重なり、さらに試合ごとに対戦相手やサーフェス、環境が変わります。
本格的にツアーを追い始めて7年、私もいまだ毎回正しい答えを出せている自信がありません。しかし一方で、特に近年必ず守るルールを決めています。それは「木も見つつ、森も見る。そんな分析でありたい」というものです。
これはどういうことなのかというと、例えば試合が終わった後に「ミスが多かった」という感想を見たとします。そのミスの原因はどこにあるのか?というのを試合のプレー選択やカウントの状況などから探っていくことが「木を見る分析」になります。要するに細部を考えて判断するというものです。一方で、ミスの割合を試合間で照らし合わせたり、数か月間のプレーに共通する項を探したりすることが「森を見る分析」になります。
今回のケースで言うとプレー単品の問題点を探る、試合を掘っている部分が「木を見る分析」であるのに対し、BPコンバージョンに関する最近の傾向を広く見ることが「森を見る分析」です。
どちらに寄りすぎてもいけないのです。どっちも見ないと、その真実は見えてこないのがテニスです。
長々と書きましたが、復調気味であるというのは事実です。復調気味でなければ、バルセロナ以降の結果にはなっていません、昨日のような試合やメドベデフ戦のような試合すらできないはずですから。あのプレーができているなら大丈夫だと思います。
あとは本人談にあるように、いつ自信が持てるようになるのかだと思います。
そう思って2018年を振り返ると、ちょっと気になることがありました。年度末にあった各種インタビューなどで「本当に自信が持てたのは全米でベスト4に入ってから」という趣旨の発言をしていることです。
確かに全米ベスト4以降、一度もベスト8を外さずに勝ち上がり続け怒涛のまくり上げでファイナル進出。あの時の錦織は神がかっていました。
しかし裏を返せば、チリッチ、ズベレフを連続で倒したあのモンテカルロの頃はまだそうではなかったということです。そんな中勝ち上がり、少し自信が持てたようです。
いよいよウィンブルドン 錦織圭選手 単独インタビュー | SPORTS STORY | NHK
今も同様に、テニスのレベルは戻ってきています。去年のモンテカルロのように結果さえ出れば、必ずプラスに向かっていくと信じています。ラッキーがあっても構わないのです。あとはそのワンパンチがどの大会で出るかだと思っています。手首が問題でないのならば、少しずつトンネルの出口は見えてきているのではないでしょうか。
*1:言うまでもないですが、tennistvは客観的な事実を示しただけです。なんなら当時私は実況でそこに触れて、今回は一発でブレークしたからよかったですねと言った後からあんな展開に…