IPTLに行ってきました(その2)
こんにちは。
第1試合が終わった後、選手のベンチ側(西だっけ?)にはものすごい人が押し寄せていきました。
2階席から1階席に降りるにはチケットの検閲が必要なので、基本的には1階席の人のみなのですが、それでも東西南北全席種から人が押し寄せるので結構なすし詰め状態でした。
私が座っていたのはややベンチとは反対寄りだったのと、まだこの時間帯はそこまで高まってなかったので静かに一応西ブロックに向かいました。
単純に選手を近くで見れるので行ってきました。前回の最後に見せたモンフィスのダンスもそこからの撮影です。
自分の席に近かった方のベンチはインディアン・エーシーズとフィリピン・マーベリックスでした。
シンガポール・スラマーズとジャパン・ウォリアーズは入退場の流れや錦織登場もあって自分がいた方よりもとんでもないことになってたので行くのをやめました。
ラオニッチ。超近かったけど試合前なのでラケットを取るだけでファンサービスには応じてくれず…
ごっちゃになっててすごいメンバー。GS優勝者が2人映ってます。誰と誰かな?
着席すると選手入場。初戦は選手入場中に会場入りしたのでのんびり見れず。こういう暗転した状態での演出はツアーファイナルズみたいでいいですね。
錦織への声援もそうですが、他選手への声援も多かったです。特にガスケとラオニッチ。楽天への参加も多く、ファンが増えてますね。
この時間帯には奈良のセリーナとの対戦もアナウンスされ広まっていたので、奈良の登場には大声援でしたが一瞬でサフィンが笑いに変えていきました。まさかのお姫様抱っこでの登場。さすがやってくれる男です。
ジャパン・ウォリアーズ×フィリピン・マーベリックス
MI パエス/ルチッチ3-6フーイ/セリーナ
MD パエス/エルベール5-6ガスケ/ロジャー=ベスリン
MS 錦織5-6ラオニッチ
LS サフィン5-6フィリポーシス
WS 奈良くるみ6-4セリーナ
第1セット MI パエス/ルチッチ3-6フーイ/セリーナ
楽しいダブルスでした。
パエスはこの日調子の悪かったルチッチを全力でカバー。攻守にわたりハッスルしなんとか試合を作りますが、この日は全体的にサーブの入りとキレが良くなく、せっかくブレークしてもブレークされる、というまさかのブレーク合戦の展開になります。
この日いきなりの登場となったセリーナは男子顔負けのパワフルなテニスを展開します。
パエスのサーブに対してもしっかりリターンし、プロのミックスの試合でありがちな男女格差を完全に消していました。
試合は第7ゲームでついにキープに成功したフーイ/セリーナがリードします。第8ゲームではルチッチのボレーの決め球が甘くなったところでフーイがスマッシュ返し。これがコート隅に突き刺さりこの日一番のホットショット。
結果このショットが試合の流れを決め第1セットを取ります。
のちの結果を考えると、実はこのスマッシュが試合を決めたといっても過言ではありません。
第2セット MD パエス/エルベール5-6ガスケ/ロジャー=ベスリン
パエスの奮闘ぶりが光るダブルスでした。
この日のパエスは面白いようにボレーを決めていきます。
力で持っていくボレーというよりは、経験と技術に裏打ちされた最適な選択肢でのボレーのプレースメントが神がかっていました。
こういったプレーに観客も乗ってきます。ダブルスの決まると盛り上がる空気感が会場の空気感を高め、日本チーム応援の機運が出ます。
初生観戦となったガスケは見事なバックハンドを披露してくれました。
一度エルベールのフォアに強打しに行った後、間を抜くパッシングショット(パエスのウォッチミス?)が決まりました。
幸運にもこのショットは完璧な撮影に成功しました。
ガスケのバックハンドのテイクバックは本当にきれいです。
この間コンマ数秒。考える間もなく強打が飛んでいきます。
長年の親友でもあるロジャー=ベスリンとのダブルスは、正規ペアでないことを忘れさせるほど息ぴったりで、終始笑顔でプレーしていました。
試合は互角の戦いとなりますが、エルベールのSFSでフィリピンチームが意地を見せ追いつき、タイブレークでパエスがミスを連発し、惜しくも5-6でセットを落とします。4ゲーム差で日本チームはエースの錦織にバトンタッチします。
第3セット MS 錦織5-6ラオニッチ
最高の試合でした。
まず錦織について。
錦織のテニスを最後で生で見たのは2年前。あの頃と何が変わった?これが生観戦のテーマでした。
結論から言うとサーブが異常によくなったということです。
フリーポイントが取れているのです。これは2013年に当時100位付近だったファリャ相手に対して、サーブでは押し切れていなかったと思っていたのと全く違う次元にいることを表しています。
もちろん錦織にとってサーブはウィークポイントかもしれません。大砲や弾丸のようなラオニッチのサーブと比較すれば、です。
錦織のウィークポイントという基準は、勝つためのウィークポイントから世界を取るためのウィークポイントへと次元が上がった、そう確信できました。
事実他の選手のサーブと全く遜色ないサーブが打てており、しかも説明しにくいのですが「返しにくさ」を感じました。
本来タイミングさえ合えばすべてのサーブが返せるはずなのです。消える魔球を打っているわけではないのだから当たり前のこと。
そしてそのタイミングを合わせるのが難しくなるのは、原則としてサーブの球速のみ、のはずです。
しかし現実には違います。これを私は現地で見抜くことができませんでしたが、球速以上の返しにくさ、リターナーに対するプレッシャーを感じました。
もちろんこれが完成された錦織のサーブではないと思いますし、もっと向上できる部分はいくらでもあるでしょう。
しかし昔をふと思い返すと、ちょっと信じられないくらいにはよくなっていました。
次にストローク、戦術について。
いわゆる前陣速攻を取り入れてから初の生観戦でしたが、本当に浅くなったボールに対しての攻撃のスタンスが最適だと感じました。
テレビ画面で見るとボールの高低差が分かりにくいのですが、オンコートの低い位置から見るとどのボールが攻めてよいかというのはさらによく見えてきます。
迷いがあると10月ごろの錦織を称しました。「頭のメンタル」という言葉を使いました。
確かにあのころの錦織は選択を間違えるか、無理攻めという場面は何度も見てきました。上から見た画面でも無用な攻めだと思うことはたくさんありました。
しかしこの日はそのような攻めはわずかしかなく、逆に浅くなったボールに対する展開力はトップ10、いやそれ以上という多彩な攻めを見せてくれました。
一方のラオニッチ。最後の対戦であるデ杯カナダ戦では地元で苦杯をなめました。
ラオニッチのサーブを生で見ての感想。
「…この人からブレークするの?」
ダスティン・ブラウンのサーブも速かったですが、精度と球速でラオニッチが上を行きました。とんでもないビッグサーバーです。
そしてストロークが本当によくなった。サーブを打ってリターンが返ってきた後さあどうしよう、ということがなくなりました。もちろんストローク戦では錦織が上を行きますが、それは錦織相手だからそうなってしまうのであって、ツアーで勝っていくなら十分なレベルになっていました。
これもいい写真。サーブの時に飛んでるのと、錦織がスプリットステップを踏みながらやや前に出ているのが分かります。
試合は錦織ラオニッチ戦特有のサーブとリターンを主体とした神経戦。
お互いに良さがでる中、パワーポイントでつかんだブレークチャンスを両者逃した後はキープ合戦が続きます。
勝負は突然やってきました。4-4の場面で30-40と錦織がチャンスを掴みます。
期待の高まる中、1本目はエース。2本目はセカンドサーブになります。
リターンで勝負に行った錦織ですが、クリーンヒットはできず。厚く当たったリターンはコートをとらえますが、ラオニッチにそこそこの体制でパッシングショットを打たせてしまいボレーミス。ボレーを単純にミスしたように見えますが、個人的にはリターンダッシュした地点でもう少し物理的にプレッシャーをかけれていたらよかったと思っています。
しかしこの失敗の後の錦織は落ち着いていました。エキシビションだからもちろん気負う必要はないのですが、次のゲームの30-30からいいプレーをつなげて集中を落としません。
タイブレークでは錦織のサーブがネットイン、これがラオニッチにとってチャンスボールとなり先にミニブレーク。
その後はラオニッチが心理的優位を作りながらお互いがミニキープを続け、最後は攻めたラオニッチがギャンブルプレーに成功。7-3でタイブレークを取りました。
ただ試合の分岐点があのネットインだったこともあり、試合の内容もレベルが高く、正直引き分けです。そう断言していいでしょう。
そしてこのレベルのプレーがしっかりできれば、錦織ラオニッチ両名ともすぐにランキングは上がると思います。これも断言します。
正直これだけで3万2千円の元は取ったと思う。いやほんとに。この決着は、ツアーのできるだけ高いラウンドでつけてもらいましょう。
第4セット LS サフィン5-6フィリポーシス
錦織戦でトイレを我慢していたため少し離脱しました。
サフィンはこの試合の地点からけがが心配な状況だったようで、やや精彩を欠きます。
対するフィリポーシスもMTOに近いマッサージを受けるなど大変そうでした。
サフィンは現役時代からの豪快なテニスが見られました。総合力も高く、元NO.1にふさわしい選手でした。
こちらもタイブレークでサフィンがミスを続けてしまい、接戦を落とします。
第5セット WS 奈良くるみ6-4セリーナ
この地点で日本チームとフィリピンチームのゲーム差は6となり、奈良が6ゲーム連取する以外に日本チームがこの試合に勝つ方法はなくなりました。
当然そんなことが起きるわけもなく、単純に奈良がセリーナに勝つか、というところがキーになるはずでした。
ところが第1ゲーム、立ち上がりの悪かったセリーナから奈良がブレークに成功。事態は大きく変わります。
第2ゲームも押しているムードでしたが、40-30からのパワーポイントでもったいないミスをしてしまいすぐさまブレークバックを許します。
この地点で日本の勝利はなくなりましたが、まだ試合自体は1-1。勝てるかもしれない。そんな機運が高まり始めます。
その後も奈良は淡々とキープを続け、セリーナにプレッシャーをかけます。
セリーナは随所に見せるパワーショットは本当に女子かと疑いたくなるほどの強さでしたが、この日は精度を欠きました。ミスしてくれる分だけ奈良にもチャンスが出てきますし、しっかりと相手の力を利用したカウンターショットをうまく打つことができており、いつかチャンスが来るのではと思っていました。
そしてチャンスはやってきます。第9ゲーム、先行するとパワーポイントを使わずに自力でブレークチャンスをつかみ、最後はセリーナがミス。ついに5-4と奈良がSFSを迎えます。
しかしセリーナ、ここからが本当の力です。何度も大きな大会でSFSをブレークしてきた選手です。この日も持てる最大限の力で向かっていきました。プレーレベルは上がりつつありました。
ところが奈良はそれを上回ったのです。
セリーナの強打に対して互角に打ち合い、体格差を技術とフットワークでカバーします。
特にSFSでのバックハンドの外に切れるDTLはセリーナが全く動くことができず、気持ちを折ることに成功しました。
こうして奈良はエキシビションとはいえセリーナに勝利。セリーナが会見拒否するほどだったのでよほど本人も想定していなかったでしょう。
トータルスコアでは大きく差を開けられましたが、この奈良の大奮闘に会場のボルテージも最高潮。まるで総合でも勝ったかのような騒ぎになり、日本ベンチから一番に飛び出して祝福したのはやはりサフィンでした(笑)
奈良はこの日のプレーができればすぐにランキングを戻せると思います。2015年は苦しい年でしたが、日本勢の他の選手とともに来シーズンは切磋琢磨しての活躍を期待しましょう。
細かい総評です。
・パエスのエンターテイナー感。アジアでのエキシビション経験も多く、お客さんが何をすれば盛り上がるかということをオンコートでもオフコートでも実践してくれている。
・ベンチのガスケが足を伸ばしていて楽しそうだった。
・ラオニッチは若手だからなのか、見た感じ結構いじられているみたいだった。
・フーイやロジャー=ベスリンなど、シングルス見る専門の人にはなじみのない選手にもしっかり見せ場があってダブルス観戦導入にはよいと思った。
さて、こうしてIPTL日本ラウンドは3日間の幕を閉じました…
いやいやちょっと待てと、散々引っ張った「重大発表」とは何か、ですよね?
奈良戦が終わった直後、初戦の反省を生かして一目散にベンチのあるブロックに向かって走った私。ただベンチと反対側のブロックだったこともあり、そこまでいい位置取りとは言えませんでした。
ただなんだかんだしてる間に割と選手とは近い位置に陣取ることができました。
見えないところでいろいろ努力があった写真ですが、これくらい近い距離になりました。
もちろん狙いは選手のサインです。
といっても私は試合開始直前に会場入りしたあげくそもそも無理して高い席を取ったので、サイン用の大きいボールは持っていません。
困ったなと思っていたところ、第1試合が終わった後近くの仲良くなったお客さんと話をしていて、メロが打ってキャッチしたあのボールを使えばいいのでは?という話になり、とりあえず本気で狙ってみることにしました。
この記念撮影の後、選手たちが撤収を始めるのですが、ガスケ、ロジャー=ベスリンなどはさっと帰ってしまい、第1戦同様サインは厳しいのかという空気の中、フーイがサインを書き始めました。
そして厳しい戦いの中なんとかフーイにサインをもらうことができました!!
おそらくT.Hと書いてるものと思われます。
さらにこのあとラオニッチがファンサービスに応じ始め、サインを書き始めました。
これも厳しい戦いでしたがなんとか獲得することができました!
かなり急いで書いてたのであれですが、これも一応M.Lと書いてるみたいです。
書いてもらったあと渡された時にばっちり目が合ったのですが惚れそうになりました←特に深い意味はありません
ラオニッチってほんとに礼儀のいい頼れるお兄さんという感じですよね。
でこの頃には日本ベンチ側のブースで錦織がサインを書き始め、フィリピンチーム側の選手はほぼみんな帰ってしまった状況だったので、何となく自分のいた周りはお開きのムードが流れていました。
が、なんともう一山ありました。そうです、日本チームのパエスがやってきたのです。
ここでまた現場は騒然となりました。わざわざ反対のベンチまで来てくれたのです。
パエスはどうやらIPTLの幹部っぽいインド人の人とぺらぺら話しながらも、一人一人丁寧にサインを書いていました。
なんとパエスのサインもゲットできました。
パエスまじ男前かよ。
というわけでダブルス世界1位のメロが打ったボールにトッププロ3人のサインが入ったとんでもないプレミアムなボールが今も私の机にあります…
最後の最後に本当にありがたい思いをさせてもらいました。
しかし、です。あえて言うならそういうファンサービスは限定しないと、今回も結構将棋倒しとかの危険もあったし、3万2千円の席の人が10万や8万の席の人とほぼ同格にもらえるのはよくないと思うので、なんとかしてほしいです。
私は今回非常にラッキーな立場でしたが、しかしこれを続けるのはよくないと思います。
というわけで静かにミルマンを応援してきた当ブログですが(詳しくは今年3月の京都チャレンジャー観戦記にて)さらにフーイ、ラオニッチ、パエスを全面的に応援していこうと思います!!!←ちょろい
今回は緊張せずにちゃんと英語でお礼を言えたのでよかったです。
さて次回からは通常記事に戻ります。シーズン開幕はもうすぐそこです。それでは。