two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

WUGファイナルカウントダウン ④進歩と、止まった時間

~前回のあらすじ~

地道な活動増
僕フロでついにアニメとの並行路線から脱却
新章発表でついにそれは現実に   の3本です

 

 

僕らのフロンティアに端を発するアニメタイアップの流れは続いた。
翌2017年4月にはアニメ「恋愛暴君」のオープニングを担当。よっぴー初主演という記念までついた。

2016年12月のイベント「アニメJAM」で共演したMay'n(「ライオン」などの歌手)との縁が続き、2017年7月からのアニメ「異世界食堂」で音楽レーベルを超えた夢のコラボ「Wake Up, May'n」が実現。オープニングを担当する。

地道に種をまき続けた2016年から明け、彼女たちはレベルアップしていた。
誇張でもなんでもなく、一番力がついた1年だと思っている。3rdツアーと4thツアーのパフォーマンスの出来は相当違うと、あとでDVDを見て気づいたほどだ*1

 

迎えた2017年7月、4thツアー。私事だが、世の中のいろんなエンターテイメントなどのコンテンツに対して初めて「全通」した思い出深いツアーだった。

4thツアーのテーマは「TUNAGO」。
これは同時期に発表されたイオン東北にぎわいキャンペーンのテーマソング。

www.youtube.com

素晴らしい楽曲で、ツアーの通常パートの最終曲(要するにアンコール前最後の曲)。みんなで同じフリコピをするという試み。別曲ではすでに演者主導のフリコピ*2が行われていたが、ツアーテーマかつ、メンバーの永野愛理の強い意向もあり、非常にエモーショナルなフリコピ*3であったと記憶している。

このほかにも

・オープニングからアニメ描写が消える
・エンドロールで流れるTUNAGOに合わせてオタクが合唱し始めた
・コールなしから短期間で一気に特殊コールを次々と生み出し、後期WUGのコール曲として浸透した「恋?で愛?で暴君です!
・セットリストにあった縛りを解消(この辺は正直時間取って解説したいが、時間がない)
・いわゆるメンバーの「セルフプロデュース化」が顕著に

など、4thツアーは個人的に、現在のWUG文化の根幹を担う重要な分岐点であったと思っている。その点において、②から③で紹介したコンテンツの転換点に差し掛かり、オタク側もオタクの形として追いついた重要なツアーであり、大きな成功を収めた。

 

ただ一方で、ある一つの不安が生じた(こいついっつも不安生じてるな)

それはTUNAGOにまつわる部分で、盛んにメンバーから発せられたこの言葉だった。

「新章に向けて、みんなで心を一つにして頑張りましょう」

これは、耳に嫌というほど残るくらい、ライブ中に何度も聞いた言葉だった。
そして、新章オープニング曲として本編放送に先立って公開され、このツアー中に毎回演じられた7 sensesの歌詞がこうだ。*4

「ひとつ みんなでひとつ 答えはひとつだね」

しかもこの歌詞が薄っぺらい。(好きな人ごめんなさい)

メンバーもインタビューなどで「普遍的な言葉が並んでいて、これがWUGの曲なのかと思うくらいシンプルだった」(要出典、ニュアンスだけ受け取ってください)というほど、これまでのWUG楽曲とは一線を画していた。

さらに「約束の地で待ってて」「約束の地で見てて」という歌詞を最後にみんなで合唱。

この段階で、約束の地が何なのかはMCなどで触れられず、アニメが終了してもこの「約束の地」は具体的に明示されなかった。

 

いわば新章に対してオタクが団結して、というお題目なのだが、その旗頭となるべきテーマ曲がとにかくわかりにくい。オタクに伝わらないのだ。

そんな状況で全体主義を求められても、実行できない。

そもそもオタクなんて、それぞれの「拘り」にのっとって推しごとを行う。
実際に現場に来ると分かるが、オタクの出自に特徴はない。人口こそ少ないけど医者にもいるし、教師、鉄道運転士なんかもいる。果ては中学生までが現場に来るような空間だ。

育ってきたバックボーンも学歴も所得も違う人たちに、共通項は一つだけ。「WUGが好き」であるということだけ。

そしてその「WUGが好き」も、多種多様だ。
初期からのアニメ基盤のオタク、声優しか見ていないオタク、聖地巡礼をするオタク、WUGを起点とした同人活動を行うオタク、とりあえずマウント取りたいオタク…

そんな人たちに「一つになろう」は、はっきり言って無理。
私はこのメッセージを見たときに直感、危ないと思った。

 

新章は、まず間違いなく失敗する。それも、オタクの分断を引き起こす程度に。

 

それはなぜか。
あれだけメンバーが必死に新章を宣伝し、しかもそのトーンが何かおかしい。

アフレコなり設定を見ていた彼女たちは、この新章がどういうものかをファンよりも先に知っている。

彼女たちは演者である以上に、オタクの一人だ。WUGが大好きだし、好きなところを言語化できないほどオタク特有の早口で語れちゃうほどだ。

そんな彼女たちだから、想定される結果が見えているからこそ、オタクが分断されるからこそ、演者発信で「一つになろう」という呼びかけが行われていたのではないだろうか、と私は考えていた。

我々ワグナーは、演者に優しい。一部の頭のねじが飛んだ人を除けば、絶対に表で演者の悪口は言わないし、演者の言うことには素直すぎる(これはファイナルツアーをある程度回った人ならわかるだろう、演者発信の出来事はすぐに反映される)。
だからこそ、あいちゃん発信でこのようなことが呼びかけられたのでは。

この不安は、私のツイートにも残っている。

 

 

もしこのブログを読んでいる普段のTSD読者がいらっしゃったらよくわかると思うが、基本私が宣伝する時はポジティブなことしか宣伝しない。当たり前だ。ネガティブなことをつぶやいてどうする。人を扇動しているのに。

しかしこの時の私は、やけに現実的というか、ネガティブな要素も込みでこのツイート群を書いたことが分かると思う。

それほど、不安だった。この新章がコンテンツを終わらせるスイッチかもしれないとさえ思った。

不安は、的中した。

 

2017年10月、新章放送開始。

まず、先行上映で何とも言えない空気が伝わってきた。
普通アニメの先行上映は絶賛するツイートの嵐になる。が、行ったオタクのトーンが明らかに低い。この内容から、いいところを探そうとしているようなオタクの様子が見えた。この段階で、私の不安は確信に変わった。

テレビ東京で放送され、Twitterのタイムラインは大荒れ。皮肉なことに、局によって放送日が違ったため、不安、疑念、怒り、葛藤は連鎖し、増幅していった。

3か月間、地獄のようなタイムラインが続いた。Twitterは新章肯定派、否定派に分かれ、オタクたちの間で丁々発止のやり取りが続いた。

はっきり言うが、私はオタクアカウントのTwitterを閉じた。あの3か月間は、ほとんどタイムラインを見ないようにしていた。

具体的な明言はネタバレ回避などの目的で避けるが、新章はアニメ1期~劇場版までの山本監督の描いた世界線からは大きく逸脱したものになった。震災というサブテーマも消えうせた。今時のオタクに受けそうな内容に変わった。仙台の聖地の再現は、著しく劣化した。

それでいて、製作陣からは「原作の続編である」とインタビューかどこかで(要出典)はっきり言ってしまったことがより火に油を注いだと思っている。私は、外伝である、正史の続編ではない、オムニバス的なアンソロジー的な何かと新章を解釈して逃げたかったが、それも許されなかった。

そこに強いオリジナリティーもなく、ただただ劣化したアニメ作品を見て悟った。終わったと。2016年12月にほぼ決定打を打たれた二次元WUGの世界の断絶は、この新章を以て確定し、確実に時計の針を止めた。

 

私は、コンテンツが終わると悟った。演者がようやく一線級になり、戦えると確信したこのタイミングで。なんて不幸なことだろう。

 

ここで勘のいい普段からのTSDブログ読者の人は気づいている。2017年12月、そう。

スポナビブログが閉鎖になり、プロライター「今田望未」*5がデビューするその一歩前の時期。

私は、ブログ移転、プロライターデビューを理由に、3月のみにゃみソロイベまで現場を離れることにした。

 

 

 

我ながらいいタイミングで終わりにしたなw
ライターとなったTSDはこのまま現場から去ってしまうのか?続きが気になるところですがこれは明日の更新です。

いや、本番の体調も整えないといけないのに深夜まで何してるんだ…と書き終えて虚無になっております。

*1:こないだ長野に知り合いを連れて行くときに予習目的で動画を一緒に見たら、あまりの違いに腰を抜かしたほどだった

*2:言うまでもないが、わぐずーのことである

*3:そこまで言うならエモいでええやん

*4:JASRACさん、引用を明記している場合はセーフでしたよね、確か。まずかったら消します

*5:オタクのRTから来られた方へ。Number著者ではなくNumberweb著者です。本誌にはまだ寄稿したことがないのでウェブライターと思っておいてください