two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

Mリーグはマインドスポーツの先駆けになれるか

こんにちは。

今日はうってかわって麻雀の話です。

麻雀の情報を集めている側から来た人向けに軽く自己紹介すると、スポーツナビブログでテニスのブログをやっていました。今はNumberwebなどで書かせていただきながら、その他のことをここのブログで書いています。


TSD麻雀やるの?という疑問ですが、学生時代に覚えました。成績?それは聞かないで
ある意味コミュニケーションツールみたいなところありますからね。夜な夜な先輩の家でやった記憶を思い出します。

私の中で下火になっている時期があったのですが、昨今オタクとの付き合いにより再びやる機会がふえました。オンラインゲームで手軽にできるようになったのは大きいですね。

そんな折、別の事情でインストールしていたabemaTVを見ていたら、麻雀チャンネルがあると知って見始めたのがRTDリーグでした。
トッププロ16人が集まり(当時アマチュア萩原聖人さんも含まれていましたが)長期のリーグ戦を戦って優勝を目指すというシステムはとても面白く、特に終盤戦は毎日の楽しみでした。

28回も打っているのに1~2回の成績の差で決まる厳しさに驚きました。

 

その興奮も収まらない中、サイバーエージェント(abemaTVの母体)社長の藤田晋さんからMリーグ構想が発表されたのが昨年7月でした。

 

発表された瞬間は、すごいことが起きたという喜びと、本当に成立するのか?という不安とが交錯していました。

2022年の五輪を目指し、プロスポーツ化に向けた整備を行うということでしたが、麻雀には賭けマージャンを防ぐ以外にも、多数のローカルルールが存在するなど様々な課題があります。一種のテーブルゲームというところから、将棋や囲碁、チェス、バックギャモンなどの各ゲームとどう差別化を図り、本気でプロスポーツ化させるのか。

 

昨年7月に発表され、8月にドラフト会議、10月からリーグ戦スタートといささか急ピッチに始まった感じがありましたが、初日から大盛り上がり。特にその火付けとなったのは2つ。1つは明確にチーム戦を導入した初の大会である(プロ団体対抗戦などはこれまでにもあった)こと。

7チームで争われる80戦のリーグ戦では、自軍の3人の中から選手をどの順番でいつ起用してもOK。これによって、選手ごとの得意不得意に加え、対戦相手との得意不得意まで加味したオーダー起用ができるようになりました。
麻雀も、他のスポーツと同じように選手に様々なタイプがあるため、相性の良しあしがはっきり出ます。また座る席の順番によってもその相性が変わるため、戦略性が要求されます。

これは野球に例えると、ワンポイントリリーフみたいなことができるということです。あの選手にはこの選手を当てる。昔で言うと松井秀喜に遠山奬志を当てるようなものです。

 

今のスポーツ界の潮流として、「何らかのクラブチームを持ち、対抗戦を行う」というのが興行として成立しやすく、話題性も作りやすいというのがあると思います。

卓球でもTリーグが発足したばかりで、その盛り上がりは言うまでもありません。

実際今のMリーグのファン層を見ると、やはり特定のチームのファンになっている人がほとんど。FC制度もすでに出来上がっており、各チームごとにファンミーティングを実施したりFC限定グッズを販売しています。

 

そして個人的に称賛したいのは各チームのそれぞれの企業努力についてです。

U-next piratesは、自らの企業イメージであるデジタルコンテンツに合わせて、デジタル思考(運や流れを排除し、理詰めで打つこと)の選手をドラフトで集めました。

渋谷ABEMASは、現在の麻雀界の人気実力筆頭である多井隆晴を中心に、所属する麻雀団体と年齢、すべてバラバラなところからメンバーを集めて、Mリーグの看板チーム、人気チームとしての役割(野球なら巨人か阪神でしょうか)をきっちり果たしています。

挙げればきりがありませんが、個人、チームそれぞれが最大限に努力し、一過性のブームにならないように頑張っているのはとても好印象です。

 

 

2つ目に、パブリックビューイングの存在です。

パブリックビューイングは週末の試合を中心に、Mリーグの試合を会場近くの別室でみんなで観戦し、試合終了後にはにはその日対局した選手も集まってファンと交流できるイベントです。

これは画期的でした。チーム戦という要素に加え、みんなで一緒に麻雀を見るという前代未聞の試みがファンの心をつかみました。実際中継で映っている会場はかなり盛り上がっており、私も行ってレポートしてからこの記事を書きたかった…というくらい楽しそうなんです。

既に決勝戦パブリックビューイングは完売。予選も昨年の段階で2月の試合が完売するほどの盛況ぶりでした。

 

構想発表からまだ半年と少し過ぎた段階で、Mリーグは今のところ大成功に終わっていると思いますが、実績を急ぎすぎたためか、詳細を詰め切れなかった部分でいくつかの課題が出ています。

 

1.場決め、メンバー選考方法への不満

ファンから見た視点では、Mリーグではチームの対戦カードがリーグ戦開幕前の段階ですべて発表され、当日のオーダーが各チームのTwitterから任意の時間に、さらにどこの席に座るかは突然試合前に発表されます(選手入場時?)

どこの席に座るか、いわゆる「場決め」は、麻雀においても重要な位置を占めます。また最終結果を見ると各チームが同じ回数同じ席に座ったわけではないので、毎回くじ引きのようなもので決めているということになるのですが、それを非公開にする理由が分からない。

私の提案ですが、Mリーグ放送が始まるのが19時なので、19時に場決めを公開で行い、チーム紹介PVを15分ほど流して見どころを話している間に、裏で各チーム出場メンバーを決めて19時10分or15分に運営に提出。5分後に選手発表。こんなイメージでいいんじゃないかなと思います。

と同時に、選手起用について思うことを誰に言っていいかわからないので、監督の存在をもう少し大っぴらにした方がいいと思っています。実はMリーグではチームの監督が一体誰なのかわからないチームが多く、選手起用をTwitterの中の人に聞くことがよく起きていました。

プロ野球でも選手批判だけでなく監督の采配批判がありますよね。Mリーグでも監督を表に出して、みんなで起用を考えていきたい。そうなれば、いわゆる「見る将」のレベルもアップしていくのではないでしょうか。

 

2.Mリーガーの酷使

Mリーグでは対局の解説をMリーガー自身が行っています。

これがどれくらい辛いかというと、月火木金に試合があるMリーガーは、週2日くらい対局、もう1日解説、他の日で自分の団体の大会やパブリックビューイングのゲスト、地方の麻雀店へのゲスト出演をしています。

 

これではきつすぎる。多井隆晴プロは休みが全くないと言っていました。本人楽しそうなんでいいんですが、実際リーグ開催期間中に冬場だったのもあり、体調を崩す選手も出てきています。

 

最終盤では土田浩翔プロや内川幸太郎プロに解説交代しましたが、本来もっと前から行うべきだったと思います。

また実況も二人で4日を分担する形になっており、人材不足が否めません。

Mリーグ解説のお兄さん、Mリーグ実況のお姉さんをもっと増やすべきです。

また極論を言えば、このMリーグ構想は今たくさんあるプロ麻雀団体を潰して麻雀界を再構成する立場にあるものとも言えます。試験的でいいので、Mリーグに選ばれた選手は1年間他のリーグ戦、トーナメントを外れてMリーグに専念するなどの特例措置を取った方がいいのではないでしょうか

 

3.東京だけで盛り上がってないか?

Mリーグの対局、パブリックビューイングはすべて東京湾に面したゆりかもめ沿線で行われています。

また対局開始は19時、遅いと23時近くまで対局が続き、その後ファンと交流。終電がなくなってしまったというケースも多々起きています。

開始時間+地理条件から、パブリックビューイングの参加は関東近郊の人の方が圧倒的に有利で、地方の人は遠征して翌日に帰らないといけない厳しい条件になっています。
これではよくない。

そこで提言として、プロ野球が地域密着型にシフトして再興したように、Mリーグ地域を本拠地として各地を巡業するようになればより面白くなると思います

具体的にはその地域を代表する企業にスポンサーになってもらい、本拠地を設ける。本拠地には今の東京と同じ規格のMリーグ開催が可能なビルを建てて(もしくは借りて)行う。

将来的にドラフトが整備されるようになれば、「地域枠」で選手を取ることもできます。
本拠地では場決めの優先権が与えられるというホーム&アウェー方式も面白いかもしれません。

またMリーグが発展すれば、2部制や地方独立リーグ制などを作れるでしょう。こういった時にも地方の本拠地が生きてきます。

パブリックビューイングも地方ごとにやって、サテライト的な役割を果たせばいいかもしれません。

 

 

以上簡単ですが、Mリーグについて語ってみました。

まだ初年度です。ルールや制度などを抜本的に見直して変えることができるのは今のうちがチャンスとも言えます。初年度としては及第点ですが、本当に発展していけるかはまだまだここからです。

そんなMリーグは今日から決勝ラウンドです。abemaTVで全試合生中継、たまには進化しつつある麻雀を見てみるのはどうですか?